「Mass Effect Legendary Edition(マスエフェクト レジェンダリーエディション)」 レビュー

Bioware開発「Mass Effect」シリーズ3作品のリマスター版となる「Mass Effect Legendary Edition(マスエフェクト レジェンダリーエディション」のレビューです。PC版によるレビューとなります。

「Mass Effect」シリーズ

「Mass Effect」シリーズは宇宙を舞台とした壮大な世界観で、人間である主人公(見た目や名前などカスタマイズは可能です)を通して描かれるTPS RPGです。
現時点で4作品リリースされており、そのうち最初の3作品が本作「Mass Effect Legendary Edition」としてリリースされました。
4作品目である「Mass Effect: Andromeda(マスエフェクト: アンドロメダ)」については、「Mass Effect Legendary Edition」に含まれる3作品とは異なる舞台となっているため、ストーリーとしては本作で綺麗に終わります。(最初から3部作として開発されています)

開発元のBiowareといえば「Anthem」を思い起こす人もいるのではないでしょうか。
しかし、元はといえば「Dragon Age(ドラゴンエイジ)」、「Mass Effect(マスエフェクト)」の2大RPGを抱えるスタジオとして有名で「Mass Effect」シリーズはあまり日本では売れていないようですが、海外ではかなり人気のあるシリーズで、本作「Mass Effect Legendary Edition」もリマスターであるにも関わらずSteamで初週売上トップにはなっています。

「Mass Effect Legendary Edition」について

本作については、4K対応テクスチャへのアップデートや、一部調整のみで、決して「リメイク」ではないという点に注意です。また、日本語字幕のみの対応で日本語の音声は含まれていません。

TPSの部分についてもさすがに時代を感じる挙動で、例えば、移動が遅くダッシュ出来る時間も短く、あまり有効に使えません。また、エフェクトも地味な印象です。カバーシステムが存在していますが、「Divison」シリーズと比較すると使いにくい印象です。

UIについても現在のゲームの基準には達してないと感じます。設定関連についても、例えば視野角(FOV) の設定がなかったりグラフィック関連の細かい設定も現代のゲームと比較するとかなり少なく、特に視野角や画面の揺れなどのアクセシビリティ関連については、人によってはゲーム酔い対策にもなったりするので、レジェンダリーエディションでも加えるべき機能だったと思います。

本シリーズの魅力は膨大なテキスト量をベースとしたカットシーンやプレイヤーの選択がシリーズ通して影響が出るシステムなど、ストーリー面にあります。いずれの作品も濃厚且つ丁寧に描かれており、いろいろな種族との交流やクライマックスの盛り上がりなど、ストーリーテリングは非常に良く出来ています。

Mass Effect 1

オリジナルの発売は2007年です。(海外発売日)

前述の通り、テクスチャやライティングはアップデートされていますが、おそらくモデリング自体は変化がないので、現在のゲームと比較するとポリゴンの角が目立つこともあります。

本作から導入されたフォトモード。主人公キャラですらポリゴンを感じる。

序盤はひたすら会話シーンばかりで戦闘がわずかしかないので、かなり眠くなりますが世界観や起きている状況など導入としては必要だったかもとは思います。

2007年のゲームとして考えると操作していないときにほぼ棒立ちのキャラクターだったり、さすがに、モーション・カットシーンなど現在のよく出来ているゲームと比較するとさすがに見劣りはしますが、カットシーンの各キャラクターのモーションなど丁寧なストーリー描写は人気デルシリーズとなったのも納得できる出来ではあると思います。

Mass Effect 2

オリジナルの発売は2010年1月です。(海外発売日)

「Mass Effect 1」と比較するとグラッフィク関連についてはかなりアップデートされており、光の表現、特に陰影が前作より強く表現されている印象です。Legendary Editionでは光源の調整がされているはずので、余計に印象が強くなっているのかも知れません。また各エリア上のオブジェクトの数も明らかに多くなっており、表現豊かな印象です。(現在のゲームと比べると当然劣ります。)
また、各キャラクターのモーションも前作と比較すると棒立ちがなくなったりと自然になっています。

システムとしてのRPG要素は前作より薄くなった印象で特に装備関連はかなり異なり、武器には明確な能力値の表示がなかったりします。こういう点でよりTPSとしてシューター要素が強くなったと言えるかも知れませんが、シューターとしての感触は「Mass Effect 1」と大きな差はありません。

また、惑星探査(「Mass Effect 1」では1ボタン押すだけだった)もミニゲーム化されていたり、艦長室を装飾できたり(入手したアイテムがレイアウトされていく)など細かな部分でいろいろな方向での追加要素が実装されています。

Mass Effect 3

オリジナルの発売は2012年3月です。

グラフィック面については、2から進化は感じません。

ダッシュにスタミナ制限がなくなりましたが、まっすぐにしか走れないため、非常に使い難いです。

「Mass Effect 2」では、クラスやキャラクターにより使用できる武器種に制限がありましたが、本作ではそれがなくなりました。代わりに重量という概念が追加され銃を装備しすぎて重くするとアビリティのリキャストが遅くなるという仕様になっています。銃の性能自体も「Mass Effect 2」から引き続きどれも一長一短という性能になっており、RPG的な性能の上下差があるという感じではありません。

また、2では豊富に存在したミニゲーム的な要素がかなり削られており、3作品を通して描かれてきたストーリーに、よりフォーカスしているといってもいいかと思います。

各キャラクターに親密度があり、会話やミッションを重ねていく。ロマンス対象となるキャラもいます。
1〜3で絡む仲間の一部。

今後への期待と不安

まず、本作には含まれていない4作品目である「Mass Effect: Andromeda」が国内版未発売となっており、日本語字幕すら含まれていません。これは3部作の売上が乏しかったのが原因だと思いますが、最初の2作がXbox先行かつ3作品の発売時期を考えると国内で最も海外ゲームかつコンソール向けのゲームが売れなかった時期と一致するような気もします。現在ではいわゆる洋ゲーに対する印象なども当時とは異なる部分もあると思うので、日本語字幕の対応だけでもなんとかサポートを続けて欲しいところです。

すでに次回作の開発も進んでいるようで、「Mass Effect Legendary Edition」との繋がりを感じさせるティーザーが公開されています。

「Mass Effect: Andromeda」の日本語字幕の追加など今後に向けて期待できる動きがあることを望みます。(とはいえ、厳しいかな)

宇宙を舞台とした作品に苦手意識がなく、壮大且つ濃いストーリーを楽しみたいという方には間違いなくオススメです。TPS部分も難易度は低めです。

本作はEA Play Proの対象となっているのでPC版は月額1700円ほどでプレイ可能と手が出しやすくなっています。是非プレイしてみて下さい。

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