『デス・ストランディング2 オン・ザ・ビーチ』 レビュー 豪華な俳優陣による綺麗に終着したストーリーと進化を感じる作品

コジマプロダクションによる前作『デス・ストランディング』の続編となる『デス・ストランディング2 オン・ザ・ビーチ』のレビューです。
オープンワールドアクションシューター配達ゲームです。
なかなか尖っている部分も持ち合わせていた前作からの変化も確認しつつレビューしていきます。

美しいグラフィック

PS5でもここまでできるのかと感じるぐらい素晴らしいグラフィックです。
本作では各キャラクターを実際の俳優さんが演じていることもあり、その表現はかなり素晴らしく、また、フィールドの美しさをストーリー進行による状況の変化にる描写などの細部に至るまで、かなりディティールの表現にまでこだわりを感じます。

マイルドになった尖っていた部分

前作同様、配送をするという基本部分に変化はないため、特にプレイしていない人からすれば、非常にわかりにくいゲームと言えるかもしれません。
ただし、前作も高く評価されており、2000万ユーザーを突破していることも発表されています。

前作『DEATH STRANDING』と比較して本作は非常にプレイしやすくなっています。
具体的なところでは前作から拡張された便利な装備などの影響を大きく感じ、他には、おそらく配達ルートの地形的な作りなどもあると感じます。

当然、戦闘面も銃など戦闘で活用できる機器の種類が大幅に増えており、前作では比較的驚異的な存在と言えた『BT』などとも戦いやすくなっています。
この点は、評価が難しい部分でもう少し緊張感が欲しかったと感じるプレイヤーもいるかと思います。

ただし、前作と大きくプレイ感が異なるということはなく、あくまでも続編であり、これを「2」ではなく「1.x」程度と感じる人もいるようです。

相変わらず?どこか違和感を感じる戦闘・アクション

前作同様ではありますが、基本的に主人公『サム』の動きが重く、なかなかプレイヤーの思う通りに動いてくれない感があります、この印象を助長しているのが独特な操作体系で、例えば、銃のリロードは⚪︎ボタン、回避もL2R2を押した状態での⚪︎ボタン、銃や装備の切り替えは装備変更で装備の共通UIを使用しての変更となっています。個人的に一番ストレスだったのがダメージを受けた際に装備していた銃を勝手に解除(しまってしまう)ことがあるという挙動です。

武器の切替えUI。前作同様ではあるが、武器も荷物の一つという扱いなので、手に持つ装備を切り替えるのは武器にかかわらず共通のUIとなっている。

とはいえ、本作のいいところはストーリー上戦わないといけない場面を除いて、ほとんどの場合、敵を無視できるという点で、これはプレイヤーに選択肢を与えている評価できる部分と言えるかと思います。
戦闘難易度自体はそれほど高くもないため、作品としてクリティカルな問題にはなっていない印象です。

ストーリー自体は高評価だが、没入しにくい世界観・演出

ストーリー自体は最高レベルとまで言いませんが基本的には高く評価できる部分と言えると思います。

前作と比べてもよりストレートなものになっており、変に詩的だったり哲学的だったりなど理解しにくい部分は0とまでいかないものの、わかりやすくなっていると思います。

ただし、この世界観に没入しにくいと感じる部分も多くあります。

その一つが各キャラクターのセリフで、ゲーム的な説明が多く含まれるため、かなり説明感の強いセリフとなっており、かなり不自然さを感じます。

他にも、いわゆる多く実装されている”ネタ”の部分だったり、極まっているのが最終盤のシリアスな場面に突然始まるミュージカル風の演出です。
これが、プロデューサーでもある『小島 秀夫』さんが発言する賛否両論の部分なのかわかりませんが、没入感という意味では阻害にしかなってないと感じてしまいます。

かなり細かな表現へのこだわりを感じるビジュアル・演出表現

ストーリー上、主人公の母艦となるDHVマゼランが動けなくなるという状況が発生します。
その時に、入口などタール(要するに液体)の進入口となりそうな個所に土嚢がしっかり積まれます。

タールにはまるマゼランと積まれた土嚢

本作はグラフィックがかなり綺麗で、こういう状況変化による細部の描写にもこだわりを感じ、素晴らしい点の一つです。

また、このこだわりが温泉での「いい湯だな」など、遊んでるなという部分にも徹底感があり、前述の通り世界観という意味では外れるものとは感じますが、ここまでいくと「よくやったな」と言わざるをえない部分です。

シリーズとしてゲーム史に残る作品

ストーリーとしては前作よりストレートになっており、わかりやすくもなっており、最終的には綺麗に終わらせている感はあります。
「配達するゲーム」という他ゲームではなかなか体験出来ない部分でもあるので、是非とも触ってほしい作品と言えます。