オープンワールドとストーリーとの相性と自由度

某海外系ゲームメディアの日本版掲載の記事と直後にYoutubeの動画で討論された内容ですが、自分もいつかまとめたいと考えていたものなので、「サイバーパンク 2077」もリリースされたことだし、良いタイミングだと思うので考えを整理してみたいと思います。

なお、前述の記事や動画の内容を肯定するものでも否定するものでもないと思います。

ストーリーとの相性が悪い?

オープンワールドのメインクエストは大抵ある程度の長さで区切られる章のような形になっているのは、誰もが認識できている実装だと思います。
その章の区切りでプレイヤーに次に何をさせるのかという選択肢を与えているわけですが、該当の記事では、ここでメインストーリーと関係のないサブクエストができたりすることに違和感を感じるという内容だと思います。(雑にまとめれば)

確かに、それはその通りで、「サイバーパンク2077」は命が刻一刻と削られている状況であり、大抵のゲームでは、ストーリー次第ですが何かしら差し迫った状況になっていることが多いと思います。

ですが、これは「オープンワールドだから」と言い切れるのでしょうか?

例えば、ほぼリニアな作りと言っていい「FINAL FANTASY VII REMAKE」でもサブクエはあります。神羅ビルに突入している状況でバトルシミュレーターをやっている場合ではないはずです。

「FINAL FANTASY VII REMAKE」バトルシミュレーター
エアリス救出のために突入した新羅ビルの途中で行えるアクティビティ。名前の通りただの戦闘するだけのコンテンツ

要するに、「オープンワールドだから」ではなく、メインクエとサブクエが同時に存在することの相性が悪いという考え方もできると思います。

おそらくこれの解決方法は、メインストーリー側である程度行動に余裕があるような演出で一旦章を区切りそのタイミングでのみサイドクエストができるような状況にすることですが、全てのストーリーでそれを考慮して用意するのは相当難しい気がします。
また、これでは後述する「自由のなさ」になってしまいます。

自由って何?

そもそも、人によって何を自由と感じるかは違うはずなのですが、これを前提にすると何も書くことがなくなるので一旦無視するとして、オープンワールドの自由ってなんなんでしょうか?

自分にとっては、行動の選択肢が与えられている(どのクエストからやるのか、そのクエストをどう攻略するのか)時点でリニアなゲームよりずっと自由を体験できていると感じています。

個人的に、比較的自由を感じさせるストーリー体験という意味では「Witcher3」のようにサブクエストとメインクエストでの選択肢や結末がそれぞれに影響し合うものがいいのではと思います。

Witcher3
内容がしっかりして魅力的なサブクエストが多かった「Wicther3」。それだけに全体的にかなりボリュームのある作品となった。追加コンテンツも非常に魅力的だった。

ですが、そのボリュームや実装の複雑さを考えると、開発はとても大変で、メインク・サブクエスト双方に長いストーリー・ボリュームがないと実現が難しそうです。例えば「サイバーパンク 2077」では、「Wicther3」にメインクエストが長すぎるという声があったことで、かなり短い内容となっています。おそらくこのことも原因のひとつとしてメイン・サブクエでの選択が及ぼす影響がほぼない実装になっています。(個人的には内容分厚いなら長くてもいいと思っています。)

若干話が外れますが、内容の薄いサブクエの存在は、ゲームのやり込み要素という意味では必須の存在です。「サイバーパンク 2077」や「Wicther3」ではそれでも、テキストや会話シーンなどがあるだけでも良くできている方だと考えるべきです。これらのゲームで実装されているアクティビティのボリュームを維持しつつ、内容も濃くしろというのは、開発には相当な負担となるはずです。
(もちろんそれが出来たなら、至高な作品と言えるかも知れません。)

結局、オープンワールドとは

オープンワールドに限らず、プレイヤーにある一定の目標を与えることはゲームにおいて非常に重要です。その一つがストーリーであり、作品の独自性を打ち出すのにわかりやすい要素でもあります。

おそらく、ストーリーがある作品においても「オープンワールド」=「自由」と定義してしまっていることが、そもそもの間違いなのではという気がします。
もちろんその定義が理解できないわけではありません。それでも、オープンワールドというものがない時代よりはずっと自由な体験となっているはずですし、オープンワールドの魅力はそれだけではありません。
少なくとも現時点のオープンワールドは=「自由」ではなく、「プレイヤーの選択の幅を広げるもの」というところに収まっていると思います。

オープンワールド系ゲームがかなりリリースされて、ある程度型にハマった形になってきているというのも事実だと思います。UIなどシステム的な視点で見れば、目標を表示するガイドの存在も「自由」という視点で見れば窮屈に感じさせる要因となっているのではと思いますが、これがないとまたプレイヤーにとっては難しい状況になります。(「アサシンクリード ヴァルハラ」のワールドクエストがこれに当たりますが、内容によっては何をすればいいのか分かりにくいという問題があります)

オープンワールドゲームの進化を感じる作品の登場に期待です。

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