ファイナルファンタジーVII リバース レビュー
分作となった「FINAL FANTASY VII REMAKE」シリーズ2作品目となる「FINAL FANTASY VII REBIRTH」のレビューです。
本作自体のコンテンツ面や分作であるという部分も含めて”ネタバレあり”でレビューしていきます。(オリジナルとの比較はありません)
設計されたフィールドと乗り物
本作は6エリアに分割されたオープンフィールドが用意されています。さすがに分割されている上にオープンワールドと呼ぶには明らかに小さいです。(これ自体は悪いことだとは考えていません)
また、トレイラーなどでもフィーチャーされているように、特殊な移動能力を持ったチョコボなどの乗り物が多く存在します。一般的に多くのオープンワールド作品ではこれら乗り物系はプレイヤーの利便性を高めたり自由度の拡張のために存在することが多いですが、本作ではそのようには機能してなく、むしろ逆にプレイヤーに制限を課すために存在しています。
それはメインストーリーの進行上プレイヤーに行って欲しくないエリアに行けないようになっており、それを越えるための手段として乗り物が用意されていることが多いというのが1つ、そして、例えば壁を登れるチョコボのようにフィールド自体が各種乗り物の特殊能力を使った移動が必要となるように設計されており、ある意味移動自体が一つのコンテンツとして設計されています。
これは壁が登れるチョコボと言っても専用に用意されている壁しか登れないなど制限があることからも間違いなく自由度という意味では機能していません。
手触り感の悪い操作性と細かくイライラさせる箇所
どう表現するのが正確なのか難しいのですが、パッドの操作に対して、すぐにそれが反映されないもどかしさというのか、キャラクターの操作性については、前作「REMAKE」の時点でも同様だったのでもう変わらないんだろうなぁということだと思います。
本作ではオープンフィールド化によってそれがより顕在化してしまったと感じており、わかりやすいのが違和感のある高低差の挙動で、少々無理矢理感のあるアニメーションと移動、うまく登れなかったり登りたくない箇所を登ってしまったりと変な挙動が見られます。
また、チョコボの挙動についても同様だと言えます。
本作はファンタジーです。世界観、キャラクターのセリフ、起きる出来事、何を取っても現実感のあるものはありません。それなのに、チョコボの挙動など、細かいところで急に現実感あるものを押しつけてくるので、もう徹底的に操作感をよくする方向に振り切ってしまってもいいのではと感じます。(チョコボという架空の動物に対して現実感というのも変ですが)
このチョコボの操作性の悪さとフィールド構造の悪さが相まって苦痛レベルになっている「ゴンガガ」エリアはテストプレイしたのだろうかというレベルです。
このエリアは密林に相当するエリアなのですが、道が狭く、高低差もあり、その高低差を大きなキノコに乗ることでジャンプできるチョコボでの移動が必須となっており、かなり印象の悪いフィールドとなってしまっています。
次にクエストなどのフィールド上に点在するアクティビティについて、完了のたびにUIとして表示されるクリア表示があり、その間一切操作を受け付けません。また、多くのアクティビティで前作から続投となる「チャドリー」が絡んできて内容のない会話を繰り広げるのも、テンポ感を悪くしています。
成功と言える各キャラクターの深掘りと分作故に失敗と言える描写
本作のストーリー面を評価するのは分作であるが故に難しいですし、やはり最終作がリリースされてからというのが公正なのかなと思います。
本作にフォーカスして見ていくと、本作最大の魅力と間違いなく言えるのが各キャラクターの深掘り、関係性をきっちりとプレイヤーに体験・見せていることだと思います。「バレット」の過去や、「エアリス」・「ティファ」を初めとした各キャラクターの仲間感を存分に感じることができます。また、子どもの時の「エアリス」も短いながらプレイアブルにすることで母親「イファルナ」との死別も体験できます。
またデートイベントや道中での何気ない会話など細部まで気を遣っているのが感じられ素晴らしいです。
分作故に失敗と言えるものの一つは、冒頭の初めてオープンフィールドに出る箇所がわかりやすいかと思います。本来、閉塞感のある暗いミッドガルでの冒険を終えて、明るく自然豊かで広いフィールドに出てきたことで美しい景色などプレイヤーに感動を与えられる場面ではあるのですが、多くのプレイヤーにとってそれはもう4年も前のことで、当然、体験としてはどう足掻いても薄いものになってしまいます。また、最後についても失敗と感じています。それは別のセクションにて記載します。
大量のミニゲーム
大ボリュームとなる本作の大きなウェイトを占めているのが大量かつバリエーション豊かなミニゲームです。
メインストーリーにもその多くが絡んできますし、その成否などは当然キャラクターの好感度に影響したり等その時だけの体験に留まらない影響があります。また、サブクエストなどにも用意されており、本作のサブクエストは、REMAKEやそのDLCとなる「FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE」に登場したキャラクターが再登場して、クラウド達が脱出後のミッドガルの状況や各キャラクターの変化などを描いているのですが、一部に難易度が厳しめになっているものもあります。
ある意味異色のプレイスタイルの変化となるので、それまでのプレイとの違和感というか一連のストーリーの流れとして途切れてしまう感を感じてしまうこともあります。
ただ、プレイヤーによってミニゲームごとに好き嫌いは分かれるのは当然とは言え、この要素自体が明確にマイナスとは言い切れない面もあり、なかなか評価の難しいところです。
がっかりした最後
ある意味ショックと言えるレベルで残念な演出だった最後について。
ほとんどのプレイヤーが「エアリス」が死ぬことはわかっている中で、そこに対する演出は現代の表現力でどう見せるのかという点でも非常に重要なのは誰が考えても当然だと思うのですが、すべてが最悪の体験に感じました。
まず、「エアリス」が刺されるシーンの描写についてもなぜあんなに曖昧な表現にしたのか?
さらに続いて、その後のラストボスとの戦闘にも参加してくるし、エンディングシーンにもクラウドにしか見えていないと思われるものの登場させてしまいます。
ここでは、2作にわたってプレイアブルなキャラクターとしてプレイヤーに身近な存在であったキャラクターを喪失させるという、大きな感情・喪失感を抱かせるべきだったのではと思います。
そのためには、きっちりと刺されたという描写が必要だったと思うし、その後のエンディングで絶対に登場させてはならないと思います。
その喪失感こそが最終作のプレイ意欲に繋がる原動力になり得たのではと感じます。
本作と今後
間違いなく現代を代表するゲームの一本である意味テーマパーク的なゲームとなっています。
各キャラクター描写は素晴らしいですし、演出面も素晴らしいです。
一方でプレイヤー次第では細かなストレスを感じさせる作品でもあると思います。
予定では次がリメイクプロジェクト最終作とのことで、わずかながら先鋭化が見られるバトル面など気になる点もありますが、ストーリー的にどのような終幕を迎えるのか、次の作品が3部作すべての評価に影響するのは間違いなく、とてつもなく高いハードルにどう対処してくるのでしょうか。
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