プレイグ テイル -レクイエム- レビュー

国内では、ゲーム自体とは別のところで話題を振りまくことになってしまった「プレイグ テイル -イノセンス-」(レビューはこちら)の続編「プレイグ テイル -レクイエム-」のレビューです。
なお、ストーリー的に完全に繋がっているために軽いネタバレは含むことになりますのでご注意ください。

ストーリー・世界観

本作「A Plague Tale: Requiem」は前作「A Plague Tale: Innocence」の完全に続きとなる作品で、1300年代の疫病に苦しむヨーロッパを舞台に主人公アミシアとまだ幼く特殊能力を持ってしまった弟ユーゴの追っ手から逃亡しながら、ユーゴを治療できるのではと期待を抱いて目的地を目指す兄弟とその仲間達の物語です。

前作から拡張を感じないゲームシステム

前作同様にスリングを所持していますが、敵を倒すのもステルスで回避するのも自由な状況もあれば、敵を倒すことが強制となっている場面もあります。錬金による炎や逆に炎を消すなどのスキルはストーリー進行に連動して解放されていくという点も前作同様で他にエリア上に配置される箱から入手できるアイテムを消化してアミシア自体の強化などが可能で、これらを駆使し、時には兵士など追っ手を倒しパズル要素を解除して進行していきます。また、前作で能力が開花したユーゴの能力を使える場面やその他仲間に指示して進行していく場面もあります。とはいえ、これらの仕組みはほぼ前作同様という印象があります。

武器の切り替えUI

本作が最も重要視したものは何か?

ストーリーとそれに伴うプレイヤー体験がかなり重視されている印象を受けます。
もちろん、他のゲームも同様だとは思いますが、本作においては前作からシステム面での拡充もほぼなく、そして実際にプレイヤー体験という意味では、特に主人公アミシアの状況や心情とリンクしてプレイヤーの操作に制限が出てくることが多いです。例えば、ユーゴと新たな街にきた場合は街の様子や雰囲気をゆっくり楽しむようにダッシュが出来なくなります。スリングを奪われたり等失った場面では当然利用できなくなりますし、逆に兵士を倒し続けないといけないようなプレイアブルな状況の後には、自分のした行為に苦しむ場面が描かれ(主人公アミシアは元々お嬢様なので)、一方で、どこまでもアミシアとユーゴを追って来る兵士への憎悪を見せる場面に繋がったりもします。

グラフィック

特に人物については、頑張っている印象がありますが、最上級かといえばそこまでではありません。各エリアなどの環境デザインについては作り込みが素晴らしく丁寧な実装を感じられます。
ただし、髪の動きが少ない点や砂浜を歩いても足跡がつかないなど、AAAタイトルではよくある表現までは作り込まれていないです。

ペストやネズミの猛威により、かなりグロテスクな表現が多くなっているので、苦手な方は注意してください。

幅のあるゲームではないが、体験する価値のあるストーリー

前述の通り、ゲームとして決して幅のある作品ではありません。しかし、アミシアとユーゴのやり取りや2人を取り巻く状況、そして2人に絡んでくるキャラクター達の存在などストーリーは価値ある作品となっていると思います。

XBOX GAME PASSに含まれるので、特にPCゲーマーにとっては手を出しやすいと思います。

日本語字幕の出来事について

ゲーム本来の評価とは関係ないことに触れざるを得ない状況は非常に残念です。

当初、日本語への字幕対応が予告されて予約していたものの、突然、対応言語から削除され、その後、日本でのパブリッシャーが発表されるという流れです。
実際には発売時からゲーム内に日本語字幕のデータは含まれており、UI上設定が出来なくなっているという状況でリリースされました。(日本語字幕を担当したのはAllcorrectという会社のようです。)

本作の海外パブリッシャーとなるFocus Entertainmentにとって日本国内対応のパブリッシャーがつくことにどのようなメリットがあるのかはわかりません。
日本でのパブリッシャーとなるオーイズミ・アミュージオによる日本公式サイトの内容を見ても売上に大きく影響するとはとても思えないという点も1プレイヤーとして不思議です。

0に近い自分の英語スキルでも誤訳ではという部分もありましたし、テキストのミスもあり、それらが修正されるのかもしれませんが、今回の対応については、単純にFocus Entertainmentに不信感が募るだけとなっていると感じます。
同社のリリース予定のゲームには個人的に期待作もあるので、今後の展開が不安です。

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