無料で遊べるオンラインTPS 『THE FIRST DESCENDANT』 レビュー
オンラインゲームに強い韓国のNexonよりリリースされた基本無料プレイでオンラインサードパーソンシューターである『THE FIRST DESCENDANT』のレビューです。
リリースから1ヶ月経過後最初のコンテンツ追加アップデートも含めた内容となります。
ゲームの基本とシステム
キャラクターの作成などはなく用意された多数の「継承者」と呼ばれるキャラクターの中から選択してプレイします。スタート時に3人の中から一人を選択し、その後はアイテムの収集や課金での解放のいずれかでいろいろなキャラクターが使えるようになります。
ゲーム上のシステムとして「マスタリーランク」と呼ばれるものがあり、これは各キャラクターのレベルアップや武器のレベルアップで上昇していくので、基本的には一人のキャラクターのみで遊ぶという形ではなくいろいろなキャラクターで遊ぶ形となります。ゲームとしてこのキャラクターや武器をクラフトするためのアイテムを収集するというのがベースとなっています。
もちろん、キャラクタービルドやハクスラという要素も存在します。
ただし、本作独特のオリジナリティがあるシステムというわけではなく、WarframeやDestinyなど多くのシューターゲームを参考にしてると感じる部分もあり、開発者もこのような作品を例に出しています。
確かに批判できる要素とも言えますが、最終的にゲームシステムとしていろいろな要素がうまく成立しているならば、それはそれでいいと思います。その中で本作独自と言える部分を構築していければさらに本作の評価は高まると思います。
TPSとしての手触り感についてはコントローラー操作の場合、エイムアシストが初期状態ではかなり強めではあるもののオプションによる調整は可能で、その他の点で違和感を感じる部分はありません。
プレイヤー体験の薄さや古さを感じるストーリー・演出
本作は公式によるとRPGという点も打ち出しているため、当然、ストーリーも存在します。
ただし、ゲーム設計とのリンクが薄く、有効的な実装ができているとは感じません。
原因の一つはストーリー進行の仕方にあると感じ、多くの場合NPCに話しかけることで進行し、その後また別のNPCに話しかけたりなどの後、進行対象のエリアに移動し、アクティビティを行うというループになっているという点。
もうひとつがNPCとの会話シーンが固定カメラでNPCを正面に捉えただけの退屈かつ古くさい絵作りにあると思います。
特に近年のゲームにおいてカットシーンは映画的ともいえるほど、カメラアングルやキャラクターの動きによる全体の表現がきっちりできているものが増えている中で、本作は明らかに劣っていると言わざるを得ないです。全くカットシーンがないわけではありませんがごく一部となっています。
若干の説明不足感も否めないのですが、重要な部分含めて、このような会話シーンで説明されるため、プレイヤーとしてはテキスト情報でしかないと言えます。
さらにもうひとつ「プレイヤー体験」という意味で「手抜き」と言わざるを得ない箇所が各キャラクターのモーションが共通であるという点、立ち姿なども共通で最近のゲームでは待機モーションなどに各キャラクターの個性を感じさせるものが設定されていたりなどしますが、本作では同性同士で共通となっています。世界観への没入感という意味ではあまりにもさみしい実装と言えると思います。
今のところ期待できる部分とちょっとズレている感がある運営
リリースから1ヶ月も経過すれば不具合含め、いろいろと問題も出てきます。
当然そこでの運営対応が非常に重要ではあるのですが、今のところ、その対応自体は評価できる部分です。
いままでのオンラインゲームの運営とはまったく異なる対応と言っても大げさな表現ではないです。ひとつ例を挙げてみます。
「バルビーラン」
本作の「バルビー」というキャラクターを利用することで特定のアクティビティにて他コンテンツ比較で異常に高い経験値やゲーム通貨などが稼げる狩場が発見されました。
この原因は開発側の設定ミスで、無限に敵が沸く設定になっていたために狩場の形状と「バルビー」というキャラクターの特性が合致した結果、かなりの話題となりました。
当然このような異常に稼げてしまう状況に対して、他コンテンツとのバランスのため修正必須なのは間違いありません。ただし、本ゲームの運営は設定ミスであったことをオープンにし、数日間そのままにするという選択を取りました。当然キャラクターは課金要素との兼ね合いもあるためだと思いますが、これは異例とも言える対応で他ゲームではすぐにコンテンツ自体を封鎖してしまうでしょう。
後日、パッチにより修正されましたが、いまでも上位の稼ぎ場として機能する程度の修正範囲となっています。
この他にもパッチのたびに認識している現状や問題点に対して、開発側のコメントという形でなぜ修正したのか、今後どのような形に持っていくのかなど目標も含めて丁寧に対応している印象があります。
「カイル」グリッチとコンテンツの設計
リリースされて約1ヶ月後に最初のコンテンツアップデートが配信されました。
その直後に、「カイル」というキャラクターにダメージを大幅にアップさせるグリッチが発見されました。結果的に、アップデートで追加されたボスである「グラトニー」のマッチングで「カイル」がいなかった場合は即抜けする事態が続発する状況になりました。
もちろん。グリッチを使用すること自体は駄目ですし、すぐに修正の対象となりましたが、このこと自体が指し示すのは、コンテンツの仕様に問題があるとも言えると思います。
この「グラトニー」だけでなく一部のエンドコンテンツボスにはギミックによる攻略が必要とされており、この仕様がマッチングがあるものと合っていないと感じます。
ギミック自体が悪いのではなく、その内容、またはプロセスに問題があるという感じです。
ギミックがあるからマッチングをなくすという選択肢は絶対にやってはないけないので、今後追加されるであろうコンテンツにおいてギミックの仕様は慎重に検討すべき点だと感じます。
その他、ハクスラが本格化するであろう、ストーリークリア後のハードモードのインスタンスダンジョンからなぜかマッチングがなくなったり(アップデートで後日追加されました)、シーズンアクティビティで得られるポイントの少なさや目標値の異常な高さなど、随所になんかちょっと感覚がズレている感を感じます。
課題と期待
すでに運営からいくつかの点でコンテンツの改善案も提示されており、例えば、ドロップアイテムの天井追加やコンテンツの改善などが発表されており、詳細は不明なものの、プレイヤーの不満点に対してなんとか対応・改善しようという姿勢は感じられます。
運営型タイトルということで、すでに大まかなロードマップが示されていますが、コンテンツの質・量ともにどの程度のものが提供されるのか次第で本作品の評価は大きく変化してくると思います。
少なくとも現時点で久しぶりにがっつり楽しめているゲームなので、今後にも期待したいと思います。
基本無料プレイでPS4にも対応している今となっては珍しいタイトルです。
是非気軽に試してみて下さい。
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