過去作未プレイプレイヤーによる「ゼノブレイド3」レビュー

「ゼノブレイド」シリーズ3作目となる「ゼノブレイド3」のレビューです。
過去作未プレイでのレビューとなり、軽いネタバレなどはありますのでご注意ください。

ストーリー・演出面と過去作との繋がり

「ケヴェス」と「アグヌス」という国家の兵士である10年しか生きられない主人公達プレイヤーキャラの出会いからJRPGにありがちな”世界を救う”的な物語まで大きく広がります。話は大きく広がるものの一つ一つのシーンが非常に丁寧にカットシーンなどで演出されるので、変にプレイヤー置いてけぼりな感じはしませんでした。

メインストーリーやキャラクターだけでなく、そこに絡んでくる「ヒーロー」と呼ばれるNPC、そして本作の舞台である「アイオニオン」に住む様々な人たちも絡む非常に多くのクエストが用意されています。

丁寧なカットシーンと演出だが・・・

ただし、丁寧さ故に、カットシーンの数と時間はかなり多く、一部では、ボス戦とちょっとしたキャラ移動を含むとは言え1時間を超える場面も終盤にあったりと、描いているものが重要なのは間違いありませんが、ストーリーをあまり重視されない方にはデメリットと言えるほど長いものも存在します。

また、日本のデベロッパーの作品にありがちではありますが、カットシーンなのにボイスが入っていない場面も多く、前後のクエストカットシーン中はボイスがないのに、キャラの移動など操作中はクエストに関連する会話がボイスありになっていたりなど、操作中だからテキスト読んでいられないというのはあるかと思いますが、それにしても違和感は拭えません。

過去作との繋がりが気になるプレイヤーも多いとは思いますが、過去作未プレイで問題なく本作から始められるかという点では、一応「ゼノブレイド」「ゼノブレイド2」の両世界が融合した世界という設定があるので過去作をプレイしたユーザーであれば、どこかで見た風景などがあったりするのかもしれませんが、ストーリー的に過去作未プレイのため理解できなかった場面は全くなかったので、過去作未プレイの方でも問題なく本作から始められると思います。

素材感の薄いラストボス

ここだけは明確に駄目だと言えるのが存在感の薄いラストボスです。
結構序盤からその姿こそ見られるがあまり話をするわけでもなく最後に至るまでその存在の薄さのままバトルへと突入します。設定からして薄いので致し方ない気もしますが、いわゆる存在感のないヴィランほどストーリーをつまらなくするものはゲームに限らずないので、もう一人のヴィランの存在(敢えてぼかすと金色の人です)がそれなりに強いだけにストーリー最終盤をつまらなくする要因になっていると思います。

バトルシステムなどシステム面

バトルシステムとしては、6人いるキャラクターのいずれかを操作することになりますが、コマンド式のような古さを感じるものでもなく、かといってアクションに寄りすぎた仕様でもないので、非常にいいバランスになっているのではと感じます。融合アーツやインタリンクなどバトルに関係するものは非常に多くの要素がありますが、ストーリー進行に伴って徐々に解放されていき、またいつでもヘルプや「訓練」という要素で復習・確認が出来るようになっているので、丁寧にプレイしていけばいつの間にか自然と使えるようになっています。

実際にチュートリアルバトルを行いながら特定のバトルシステムを確認できる「訓練」

クラスシステム

本作ではキャラクターごとにクラスを設定できます。取得条件はキャラクターごとに設定された初期クラス以外は「ヒーロー」のクエストを進めることで取得でき、キャラクターごとに得手不得手はあるものの、自由に設定が可能です。クラス自体は大きく分けてタンク(盾役)、アタッカー、ヒーラーとなり、これはパーティー構成に幅を持たせることができるのでプレイヤーに大きな自由度を与えることに成功していると思います。

クラスごとにもレベルがあり、最大で20。レベルアップではスキルをマスターし、他クラスでも使えるようになったりする。
「スキル」画面。クラスごとに固有の「CLASS」スキルと他クラスのスキルを設定できる「MASTER」スキル。

装備品など

本作ではRPGにある装備品としては実質的にはアクセサリーしか存在しません。
これはクラスシステムの採用(いわゆる職業をキャラごとに変えられるので、当然武器が自動で変更となる)や、それに伴うスキルのマスターなど多くのシステムを抱える本作を簡略化させるためという意味もあるかもしれません。(しかしこのことが別の問題を生み出してしまっている感があります。後述)

唯一の装備品と言える「アクセサリー」画面、3種装備できる。ちなみにUIはあまりよくない。

非常に広大なワールド

本作は厳密に言えばオープンワールドではないと言えるのかもしれません。一定エリアごとに分かれており、エリアをまたぐ場合はローディングが発生します。ただし、そのひとつのエリアは非常に広く、登れる壁やロープを渡るなどのアクションがさらにワールドにバリエーションを生み出している印象があります。

探索のワクワク感と報酬

最初の頃は、「あそこに行ったら何があるんだろう?」というワクワク感を感じて寄り道をしたりと楽しめますが、中盤に差し掛かるあたりにはプレイヤーは気付いてしまいます。
「どうせ何もない」と。
もちろん、いろいろな箇所に素材が落ちていたり、ちょっとしたアクティビティがあったりはするのですが、その結果得られる報酬に問題を抱えています。

これは本作の装備品がアクセサリーに集約されてしまっているのも一因だと感じ、もちろんアクセサリー自体はキャラクターを強化するのに重要ではありますが、それでも装備品としてのパターンはどうしても限定されてしまいます。また、エーテルなど収集系の素材などが取得できたりもしますが、取得量に対して消費量が非常に少なく所持量に上限が存在するので、集める意味が薄くなってしまっているものもあります。もちろんエンドコンテンツ用として強力なモンスターが配置されていたりなどはありますが、それはメインストーリー進行中では意味がありません。

魅力的なワールドとプレイヤーによって利のある報酬・結果のバランスをもうちょっとうまくできなかったのかという点は気になるところです。

グラフィック

プラットフォームがSwicthであるという点を考慮すると相当に頑張っている方だと思います。
これはグラフィックがアニメ調なのも手伝っていますが、やはり環境系のテクスチャの解像度はかなりぼけており、すでにPCやPS5という新たな世代への移行が進んでいる作品を経験しているとなかなか厳しいところも感じてしまいます。
特にすでに「テイルズ オブ アライズ」(レビューはこちら)という同じくアニメ調でPS5、PCでもリリースされている作品がある中で評価が難しい部分です。

JRPGとしてプレイすべき作品

まず、本作をプレイするに当たって100時間は覚悟してください。
ただし、その時間は特にストーリー面を重視される方にとっては非常に濃い時間となると思います。システム面も決して革新的な何かがあるわけではありませんが、現世代のJRPGとしてバランス良く実装されており楽しめる作品となっていると思います。

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