Biomutant(バイオミュータント) レビュー
ケモノもふもふオープンワールドアクションRPGである「Biomutant(バイオミュータント)」のレビューです。開発はExperiment 101です。
世界観
現代の環境破壊が徹底的に進んだ結果、突然変異したケモノ達による世界が描かれる、いわゆるポストアポカリプスものです。
そのキャラクタークリエイトの自由度の高さは素晴らしく、見た目によってキャラの初期能力が変わるのですが、大きく影響が出るようなことはないので、完全に見た目で選んでしまっても問題ありません。
MAPもロケーション豊かで中には酷く汚染されているため、耐性の高い装備が必要となる場所も点在しています。(キャラクターの成長で耐性を100%に出来るので、装備が必要なくなることもあります。)
ただし、オープンワールドあるあるですが、コピペ構造(建物やその内部オブジェクト・部屋の構造が同じ)も多く見られます。
ストーリーテリングの失敗
とにかく会話シーンが入ってきません。
会話シーンがミュータント語(?)のボイスの後にナレーター(おそらく常に一緒に行動する「オートマトン」が解説している)によるナレーション風に翻訳するという流れになっているため、無駄に長くなっているうえに、ナレーション風の翻訳なので会話している雰囲気がまるでなく、また翻訳ミスと思われる箇所も見られるため、没入感が皆無といえます。
また、NPCの質問に対して回答を選択する場面も多く見られますが、質問と回答の意味が一致していないのではと感じる場面も多く、翻訳ミスの可能性もありますが、意味がわからない会話となってしまっていることもあります。
さらに会話の答えを選択することに意味がないのではと感じる場面も多く、場面によっては「オーラ」と呼ばれる光と闇の属性的なものが変化するものもあるのですが、選択肢の多くは明確な変化が見られません。
さらに、現代にも存在するものの名称が「バイオミュータント」の世界では別の名称がつけられており、例えば「サーフ(水とか水場の意味)」のようになっており、さらに序盤から説明もなく固有名詞と思われるものが出現するため、内容が理解できないという状況になりがちです。
このストーリー理解の難しさの影響が大きいのがサイドクエストで、かなりの数が用意されているのですが、ストーリーがよくわからないものも多く、その内容も特定のアイテムを持ってくるというものが多いので、お使い感がかなり出てきます。その目的の過程で調査して進めるとかなどのような変化のあるアクティビティはなく、このあたりにも”コピペ感”が出てくるところです。
アクション面
アクションもかなり薄い仕様で、武器としては大まかに、片手武器、両手武器、銃とあり、それぞれにアクションが設定されていますが、未解放なのが少なく、アクションごとの繋がりがないので、動画などを見るとアクロバティックな動きをしているように見えるが、実際操作してみると、かなり単調です。また、自動ターゲットのようなものがあり、そのターゲットがコロコロ変わるために自分が攻撃したいと思った方向と全く違う向きに攻撃が出たり等、明らかに調整がおかしい部分も見られます。
近接攻撃は、PSだと□と△ボタンを使用しますが、上記画像のリストには、□1個の攻撃も含まれ、△ボタンはあくまでも派生攻撃なので、初段では使えません。また、上記パターンから別パターンに繋がるということもないので、攻撃が単調になりがちです。
これはアクションが得意でない方には入りやすい仕様と言え、アクションが得意な方には物足りないという印象になってしまうのではと思います。いずれにしてもある程度続けて慣れてくると単調と感じられる部分だと思います。
クラフト要素
本作では、現代にも存在する様々なものを組み合わせて、武器をクラフトしたり、防具をアップデートできたりします。この世界観が独特で非常に素晴らしいものですが、武器についていえば、いわゆる固有名武器(ネームドウェポン)が存在しており、それがクラフト武器を上回る性能なので、強いものを使うとなると結局それらになるという問題点があります。固有名武器自体もパーツを付け替えたりが出来るので完全にクラフトが死んでいるわけではないのですが、もったいない仕様だなと感じる部分です。
大量のサイドクエストと報酬
本作には大量のサイドクエストが存在します。その内容が薄いのは言及させて頂いたとおりですが、さらに報酬にも問題を抱えています。
本作はクエスト報酬含めてワールドの各所に配置されている箱や棚などから、かなり多くの装備・パーツを入手できますが、ハクスラではないので、基本的に同名のアイテムにリアリティによる基本性能以外のサブステータスに変化はありません。(例えば防具ならアーマー値と属性値はリアリティによる違いがあるが、体力などのサブステータスには変化がありません。)
さらにそれら以外にもがっかり報酬があり、例えばあるクエストで鳥形の動物(乗り物)が入手できますが、一見飛べるようになるのかと思いきや、ただの滑空要素です。このアイテムを入手する以前にオートマトンによる滑空機能は入手できるので、乗り物を呼び出してさらにそれに乗らないと滑空できないアイテムに何の存在意義があるのか理解できません。(オートマトンによる滑空はジャンプから移行できる)
魅力的な世界観とコンテンツの薄さ
魅力的な世界観の構築には成功しており、独特なクラフト要素など素晴らしい部分もありながら、アクション含め、多くのコンテンツに薄っぺらさを感じ、サイドクエストの内容にも一昔前の駄目なオープンワールドテンプレを感じるので、もったいない作品だと感じます。決して駄目なゲームということはないですが、良作とも言い難いゲームだと思います。
難易度ミディアム(デフォルト)でも、回復アイテムが大量に手に入るということもあり、非常に簡単で気軽にプレイ出来るというのはオススメしやすい点だと思います。
本作「Biomutant(バイオミュータント)」は「EA Play Pro」の対象作品のため、PC版の方はお安くプレイできます。
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