FINAL FANTASY XVI レビュー

ファイナルファンタジーシリーズ最新作「ファイナルファンタジーXVI」のレビューです。
プロデューサーは現在のスクウェアエニックスを支えていると言っても過言ではないほどの成功を収めている「ファイナルファンタジー14」も担当する吉田直樹氏ということで期待の掛かる作品でもあります。

メイン・サブクエスト通して細部までの描写がみられるが逆に抜け落ちてしまった部分が目立つ結果に

メインストーリーについては序盤から終盤にかけて、国家間の争いや召喚獣を行使する力を持つドミナント個人の事情など、それなりに描けているかなとは思います。
ただし、最終盤はそれまでの要素が突然すべてなくなったかのようないわゆる”FF”らしい世界を救う物語になり何のひねりもないため非常につまらないです。

サイドクエスト自体も序盤はストーリー的な内容も薄く退屈なものが多いものの、中盤あたりからメインストーリーに絡んできたキャラクターや世界の変化に対して描写されたものや、このゲームの世界における「ベアラー」と呼ばれる奴隷達の描写が増えていきストーリー自体は悪くないです。
ただし、ゲームプレイとしては各クエスト共にひねりがなく単調なゲームプレイ内容となっています。

一方で抜け落ちてしまった描写が目立つ結果となっており、例えば本作のヒロインである「ジル」という女性キャラクターがドミナントとして無理矢理利用されていた国に対する感情を露わにする場面もありますが、プレイヤーに対する説明や描写が少ないため、プレイヤー感情とのズレが出る場面があります。本作では冒頭となる主人公「クライヴ」青年期の出来事から14年間の空白が発生するのだが、その部分に対する描写はかなり雑で抜け落ちている印象です。

ヒロイン「ジル」なんだかのっぺりとした印象のフェイスになっている

全体的に、キャラクター感情などをプレイヤーと同調・体験させるという部分を重視していない印象があり「とにかくこのストーリーを見てほしい」という部分にフォーカスがいっている印象で、プレイヤーとの間に壁ができている感じを受けます。(プレイヤー置いてけぼりな印象というか映画を見せられているという印象)

よくできているアクション面と薄くなってしまったRPG要素

本作はシリーズ初の本格アクションが採用されています。
個人的にはこの点は悪くないと感じており、いまさら退屈でシンプルなコマンドバトルはやりたくないし、「FINAL FANTASY VII REMAKE」と同じになってしまっても意味がないので、いい方向性だとは思います。アクション面自体はよくできているものの、アクションパターンの拡張が召喚獣と紐付いているため、どうしてもメインストーリー進行の影響を受けてしまい、結果、序盤において若干アクションパターンの拡張が遅いと感じることもありました。

一方で、アクションの本格的採用によりRPG面がかなり薄くなってしまっています。

装備は非常にシンプルで最低限という印象かつ、レベルという要素についてもほとんど飾りと言えるレベルでRPGによくある場面として強敵に対してレベルを上げることで対抗するということはできないため、本作のアクション面自体はそれほど死にゲーではないものの、詰まってしまった場合には、ひたすら再挑戦するしかないというプレイヤーによってはきつい場面も出てくるかもしれません。

最高峰とは言い難いグラフィック・演出面

一見するとかなりグラフィックのレベルは高く感じるかもしれませんが、細部をみていくと、近年のAAAタイトルほどではないのがわかります。

例えばキャラクターのフェイシャルモーションについては、表情の変化が乏しくまったく変化がないことはありませんが最高峰とは言い難いレベルです。(特に女性キャラクター)

また、カットシーンは明らかにレベルが低い箇所があり、サイドクエスト時の会話シーンでは、キャラクターは正対して正面斜めからのアングルのカメラが交互に表示されるだけと、レベルが低いと言える部分だと思います。

エフェクトの多様などで派手な演出が目立ち、全体的によくできているとは言えますが、今後のゲーム業界を引っ張っていくほどのものは感じないです。

一応、簡易的なフォトモードは実装されていますが、普通にプレイ出来るフィールドで綺麗な景色と感じる部分はそれほど多くはないです。むしろカットシーン中に綺麗な景色が表示されることが多い印象でした。

召喚獣戦

本作の魅力のひとつでもある召喚獣戦。
確かにエフェクトは派手で見応えはあり”FF”らしさを感じる部分ではあるものの、エフェクトが派手すぎて何が起きているのか判断が難しい場面や、全体的に戦闘時間が長すぎるなどの課題を抱えています。ちょっと2度目はもういいかなと感じてしまう箇所です。

「FF」という作品に求められるもの

個人的には「FF」という作品にはやはりゲーム業界に何かしらのインパクトを与えるものであってほしいと思っています。
そういう意味では本作のシステムは既視感を感じる部分が多いですし、何か突出した部分が感じられるような作品ではないと感じ、ガッカリしました。
ストーリー、アクション面などそれなりの評価を与えられる部分もあるのは間違いないですが、いずれの面でも最高峰とは言い難い印象の作品となってしまっています。

個人的に一番気になったキャラクター。感情を表に出す場面はないが一番「らしい」デザインになっている気がする女性キャラクター

コメント

CAPTCHA