Ghost of Tsushima レビュー
日本の対馬、時代は元寇時代の出来事をベースに制作されたゴースト オブ ツシマのレビューです。
オープンワールドアクションとして、ストーリー、グラフィック、そしてアクション面、音楽、演出全てにおいて高レベルにまとめられた良作です。
侍、和へのリスペクト
開発は、Sucker Punch Productionsでアメリカの開発会社です。
とにかくグラフィックや演出、音楽など徹底的に調査されたのだろうと容易に想像がつくレベルの作り込みで、日本人目線から見ても、違和感の少ない建物やオブジェクトの作り込みなど、少なくとも現世代機としては、もっともしっかり「和」(あと、クロサワ映画)が描かれ、非常にリスペクトを感じる作品になっています。(キャラクターの名前などゲーム内の全てに全く違和感を感じないというわけではありませんが、それでもかなり小さなことに感じます)
決して侍シミュレーターでもなく、対馬を完全にリアルに描いた作品でもありません。それらをうまく「ゲーム」として落とし込んだ作品です。
「侍」というものに特に思い入れがあるわけではありませんが、それでも素晴らしい描写になっていると感じます。
メインストーリーとサブクエスト
単純に、対馬の侍vs元を描いた作品ではなく、対馬と対馬の民の命を救うため、主人公「境井 仁」は侍としてだけでなく、その道から外れた「冥人」として手段を選ばず進めていく自分の変化、周りの変化、そして、対馬の人々それぞれが抱える問題など、細かに描かれている作品です。
サブクエスト自体は、メインストーリーに関わる人々が抱える問題を描いたものから対馬の人々の現状を描くものまで種類は豊富で、一つ一つにしっかりと拘った会話シーン、カメラ割、そして、主人公、関わるNPCなどの細かい表情の変化やモーションなどの演出が設定されていて、単純なお使い感が出ないように工夫されています。
このあたりの手法はWitcher3や、以後の作品でも見られる手法でお使い感をある程度緩和する一つの方法として確立していると思います。
(ただし、これを開発するのはすごく大変な作業だと思います。)
アクション
アクション面についても非常に出来が良く、侍として太刀を使って堂々と戦うスタイルとそうではない「冥人」として暗殺や弓、火薬系、毒などを駆使して戦っていくものの大きく分けて2パターンあり、プレイヤーは好みの方法で戦うことが可能です。例えばクエストで一対一の侍としてのバトルや冥人プレイが強制で入る場面もあるので、こだわりをもっていずれかのスタイルで進めたいというプレイヤーでもなければ、いずれも良くできたシステムになっているので楽しめると思います。
太刀でのアクションも剣の型が4種類あり、それらに敵のタイプに合わせた特攻のようなものがあります。また、ガード、受け流し、ジャストガードからの強力な一撃、後述の成長要素によるアクションパターンの追加、一騎打ちという要素など多岐にわたり、非常に良く出来ています。
成長要素
いわゆるレベルはありませんが、それに近い名声というものがあり、それが一定ポイント貯まることでスキルポイントを獲得し、そのポイントをスキルなどに割り振るという形になっています。侍としてのスキルと冥人としてのスキルがあり、どちらも自由に割り振っていけます。
また、オープンワールド上に様々な素材があり、それらを使用して武器や防具のアップデートを行えます。また、温泉や稲荷の祠などで直接的に体力の最大値をアップさせるなどのようなものもあります。
ナビゲーション
話題となったナビゲーションですが、風と鳥と狐があります。狐に関しては稲荷の祠限定というのもあり、特に問題はないと思います。風に関しても悪くはないですが、結局MAPで設定した目的地に対して、距離が画面上に数値で表示されるので、風の意味は方角を示すものとなり、雰囲気や世界観的に風でのナビゲーションということだと思いますが、距離は画面に表示されているなど、機能はしているものの、若干表現方法として中途半端に感じます。
鳥は壁や崖にぶつかったり建物に引っ掛かりと挙動がおかしく改善すべきものだと思います。
音楽
ゲームを盛り上げるのに演出上非常に重要な音楽ですが、これについても素晴らしいです。和楽器も使用されていると思われるサウンドですが、変に日本の伝統音楽よりにはならず、シネマティックな演出にこだわった本作にぴったりなバランスだと感じます。
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