Kena: Bridge of Spiritsレビュー

Ember Labの第1作となるのオープンワールドアクションアドベンチャー「Kena: Bridge of Spirits」をレビューします。
本作は一応インディータイトルということのようですが、「インディーとは?」と感じさせる作品です。

美しい世界観・ビジュアル・雰囲気

ディズニー・ピクサーのCGアニメを感じさせるビジュアルは、通常のゲーム内・カートシーンでも高いクオリティで違和感なく表現されており、光と影の表現など非常に美しいビジュアルとなっています。

本作のカットシーンでは、おそらくプリレンダームービーとリアルタイムムービーの双方が使用されていると思うのですが、その違いの判断が難しいレベルのビジュアルとなっており、アニメーションのクオリティが高いのもEmber Labが元々アニメ制作スタジオであるということで納得が出来ます。

また、雰囲気の構築に重要な音楽も素晴らしいです。

魅力的なキャラクターとストーリー

本作の主人公Kena(ケーナ)はスピリットガイドとして山の神社を目指して旅をしている途中で舞台となる村で起きている出来事を解決していくというのがストーリーとなります。そのストーリーや絡むキャラクターはアニメーションのおかげもあって魅力的なものですが、Kena自身のストーリーを掘り下げるものでも広げるものでもなく、非常に魅力的なキャラクターだけに残念に感じる点のひとつです。

主人公ケーナ。表情の作り方などもよく出来ていてトータルで魅力的なキャラクターになっている。

「ROT」とアクティビティ・システム・アクション

本作のあらゆる面に絡んでくる小さいながら存在感のある黒い妖精「ROT」ですが、まずは本作のパズルなどのアクティビティでも彼等に指示して物を動かすなどがあります。

最初に仲間になる「ROT」

本作のバトルアクションはかなりシンプルで、杖での弱強の攻撃2種と弓による遠隔がベースで成長要素もありますが例えばダッシュ攻撃や弓の所持数増加も成長要素に含まれるので、物足りない印象もあります。このあたりがインディー感を感じさせるということなのかもしれません。

「ROT」による攻撃がアビリティ扱いになっていますが種類は少ないです。

キャラクターの成長要素となる「アップグレード」メニュー。これがすべてで「ROTハンマー」はアビリティのひとつ。ダメージを与えることで蓄積できる勇気ゲージを消費して発動する。

ガードやパリィという要素もありますが、ガードもゲージがあり、耐えられる回数に制限があります。
本作のバトルは見た目の雰囲気から感じられるカジュアルさとは異なり、難易度ノーマルに当たる「スピリットガイド」ではボスはかなり緊張感のあるバトルとなっており、何度も挑戦することになり難易度自体は若干高めです。
アクションなどが苦手な方は難易度「ストーリー」にすればかなり楽になるのでゲームの進行には問題ないと思います。

意味がない探検要素

オープンワールドの各所にはちょっとしたパズルなどにより隠された宝箱が配置されていて、そのなからHat(帽子)やそれを購入するための通貨的なもの、前述した「アップグレード」に必要なアイテムが入手できます。Hatは「ROT」に被せるための物で見た目の変化以外に特に何も効果はありません。通貨についてもHatを購入することだけにしか使えなく、それも多すぎるぐらいに入手できるためトロフィー目的以外での探索要素は意味が薄いという問題もあります。

今後に期待できる作品

本作のオープンワールドは、基本的にはストーリー進行に連動してパズルやバトルをこなしながら汚染されたエリアを浄化して進んでいく形となっています。10時間ほどでクリアできるという点でもそれほど広いわけではないことが感じられると思いますが、そのエリアの構造自体は非常に良く出来ています。

またフォトモードも充実していて、フィルタなどは当然のことながら、カメラに視線を合わせてポーズを取ってくれる機能もあります。

フォトモード。カメラに向かってピース。「ROT」たちもいろいろなポーズを取ってくれます。

非常に魅力的な世界観・ビジュアル・アニメーションと、IPとしてのポテンシャルはすごいと感じます。是非次回作に向けてより広がりのあるシステム・世界、そしてKenaというキャラクターの掘り下げで素晴らしい作品のリリースに期待したいです。

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