Tales of ARISE テイルズ オブ アライズ レビュー

テイルズシリーズ25周年作品となる本作「テイルズ オブ アライズ」。
新規プレイヤーの獲得も視野に入れた作品と言うことで、ひとつの作品としてレビューしていきたいと思います。
過去作は未プレイなので比較対象となっていません。

ストーリー・エリア構成

ストーリーについては、いわゆる勇者様的能力と正義感を持つ主人公が個人的な都合から最終的には世界を救うぞという、いかにもJRPGな展開となっており、最終盤まで何と戦っているのか明確なターゲットがや状況などが謎に包まれていたりと評価できる点もありつつ、至って普通な展開も有りと全体としては及第点という印象です。

エリアについては、オープンワールドではなく、ほぼメインストーリーと連動する形で多くのエリアが繋がっている形となっており、エリアの数も多く、景色は多彩と1エリア自体のサイズはそれほどでもないのですが、このゲームに関してはこの形で良かったのかなと考えています。

序盤エリアのMAP。複数のエリアが繋がってゲームのワールドが構築されている。MAP構造にもよりますが、普通に走ればおおよそ1〜3分程度で端から端まで到達できるぐらいのMAPサイズ。

ビジュアルとカットシーンなどの演出

「アトモスシェーダー」と命名されている絵画的なグラフィックは、一部にCGぽさが出たり等で違和感が出るようなこともなく、リアル志向なものとはベクトルこそ違うものの非常に綺麗な表現が出来ていると思います。

「アトモスシェーダー」による表現は非常に綺麗です。

また、各カットシーンなどの演出も細かくキャラクターの動きが設定されており、海外ゲームの優れたものほどとは言えないものの、十分に作り込まれており、好印象です。

「スキット」システムという漫画のように分割されて展開される部分にも少し動きが入っており、よく出来ていると感じます。ただし、この「スキット」は、プレイヤー側が操作しないと見れません。ストーリーに深みを与えるサブ的な内容が大部分とはいえ、一部については重要なものも含まれ、状況次第では連続でこのスキットが出てくるため通常のカットシーンに含んだ方がいいのではと感じるものもありました。

「スキット」システム。キャラクター同士の何気ない会話などのコミュニケーションが描かれる。装備しているコスチュームも反映されている。

一部に欠けた雰囲気作り

前述の通り、優れたカットシーン「スキット」システムにはしっかりとボイスが収録されており、移動中などの仲間キャラクター同士のやり取りにもボイスが収録されているのですが、町の人などのいわゆるNPCとの会話にはボイスが収録されていません。これはほとんどのサブクエも同様で完全にダイアログによるテキストで進行されます。
最近の海外ゲームなどでは、街のNPC同士でボイス有りで会話していたり等で街の雰囲気や、プレイヤーキャラクターとの関係性などが感じられるようになっていますが、本作では、街の喧騒というものが全く感じられず「無」です。こういう細かな雰囲気作りについてはもうちょっと頑張って欲しかった点です。

また、サブクエについては、NPCが起点となるというのもあり、前述の通りボイス・カットシーンによる演出なしで、特に序盤のサブクエについては、完全に「駄目なサブクエ」の例をそのまま踏襲した作り・内容で評価できません。終盤になると、いくつか簡単なストーリーも描かれるクエストも登場してきますが、ボイスや簡単なカットシーンを入れるのは当然として、仲間やメインストリーで関わったキャラクターのバックグラウンドを掘り下げるなどメインとサブクエの境界が曖昧な内容のストーリーを描くなど全体的にもう少しそのクエスト内容・プロセスを考えて欲しかったと感じます。
「スキット」の多さなどゲーム全体としてのボイス量がかなり多いのは感じられるので、この部分でボイスがほとんどないのが逆に違和感を感じてしまいます。

DLCは大事だが・・・

DLCを売ることは非常に重要です。
それは理解できますが、ゲーム中のどこにそれを表示するのかというのはもっと大事だと思います。
本作では回復のポイントとなる野宿にも会話などのある程度の演出が用意されており、ゲーム体験・世界観を感じさせるのに一定の役割を果たしていますが、そこにもDLCの表記やニュースが表示されています。

野宿の画面。DLCメニューや「NEWS」が表示される。

ゲーム的な表現となるメニューに表示されるのは理解できますが、ゲーム進行中に表示されるのはさすがにやり過ぎなのではと感じます。

ufotableによる演出の必要性

一部のカットシーンやオープニングなど要所の演出で採用されているアニメによるシーンですが、「アトモスシェーダー」によるビジュアル表現との乖離がすごく大きく違和感しか残りませんでした。特に綺麗だと感じるシーンや描写があるわけでもなく、アニメに詳しいわけでもない自分には「ufotable」によるアニメ化の価値は全くわかりませんが、一本のゲームとした見たときに「アトモスシェーダー」による表現が綺麗だっただけに、すべて同技術によるカットシーンで見たかったと感じています。(困ったことにエンディングにも採用されており、個人的にはこの存在が大きく評価を下げる要因となっています。)

バトルシステム

アクション寄りのシステムですが、お手軽操作で各仲間キャラクターとの派手な演出による連携が出来たりとプレイしていて単純に楽しかったです。「ブーストアタック」「ブーストストライク」などいろいろな要素がありますが、演出も含めテンポが良くかなり気を遣って実装されたのはと感じられます。

「ブーストストライク」中央の敵に重なる菱形のゲージがあり、コンボを重ねてMAXになると画面右下のキャラクター枠が光ります。このタイミングで十字キーを押すことで発動。押したボタンにより連携するキャラクターの1人が決まります。

ストーリーの進行やキャラクターの成長に伴って技を使うゲージが増えたり等どんどん攻撃が激しくなっていき、比例して操作が特に前衛キャラにおいてかなり忙しくなります。また、各技のコンボについても操作が上手な方にはいわゆる「魅せプレイ」的なことが出来る面もあり、初心者の方からアクションが得意な方まで幅広いゲーム層に受け入られやすいシステムになっている印象です。

ただし、ジャスト回避&ガードについては、もう少し仕様を考える必要があったのかなと感じます。
多人数が入れ混じり、エフェクトも派手な本作では、行動をキャンセルして即座に発動できる仕様にもなっていない回避&ガードは使いづらいことが多く、敵との駆け引きという面では考えさせられる仕様です。

まとめ

海外でも評価が高く、日本のデベロッパーがリリースした「国産JRPG」として存在感のある作品となっていると思います。
クリア前後のコンテンツも充実しており、ボリュームもたっぷりで満足度の高い作品です。

created by Rinker
バンダイナムコエンターテインメント
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