The Last of US PartII レビュー
メディア、ユーザーでその評価が賛否両論となっているThe Last of US PartIIのレビューです。
今回のレビューはストーリーネタバレを含みますのでご注意ください。
評価のポイント
今作はシステム面では前作「The Last of US」を完全に踏襲しており、匍匐や水中など加えられた要素もありますが、特に大きく変わった面などもないため、今作についてはこの点は評価するようなものでもないと思います。
やはりこの作品の評価ポイントとして重要なものはストーリーとなると思います。
前作「The Last of US」と今作
前作の最終局面での出来事を発端として今作のストーリーが展開されるので、前作がプレイ済であるのは重要だと思います。
ただし、今作が純粋に前作のストーリーの続きであるとは言い難く、ジョエルとエリーの作品ではないという点が重要で、この点こそが今作の評価が変わるポイントのひとつだと思います。
エリーとアビー
今作のテーマは暴力と復讐らしいのですが、物語冒頭でジョエルを殺されたエリーはその相手アビーに復讐するために旅立ちます。(そもそもこういう主要キャラを安易に殺してしまうのがどうかという気もします。)
その物語の途中で自身の暴力にエリーが震えるという演出もありますが、そこに到達するまでに相当殺して進んで来てるので違和感を感じる演出と感じました。(ただし、このシーンは自身が前作ラストで生き残ったという現実にも苦しんでいるという描写も含まれているのかもしれません。)
前作をプレイしていたユーザーならば当然エリーに肩入れしたくなると思いますが、困ったことに本作後半ではエリーの行動の裏側で行動する宿敵となるアビー編が存在します。
この内容がユーザーがどう捉えていいのか難しくさせており、いわゆる悪役としては全く描かれておらず、むしろ非常にいい人に描かれています。
さらには、エリー編との直接的な接点が最後の最後でしか描かれておらず、余計に何のためにあるのかと戸惑います。
今作が描いたもの
テーマとなっている「復讐」については、その意義というか意味のなさという点では描けている気もします。
ただ、主人公2人の描写など考えると、今作は過酷な世界に生きる人の生活をエリーとアビーという2人の主人公を通して描いたものとしか自分には捉えられませんでした。
この描写こそが前作プレーヤーが期待するものと大きく異なった点ではないかと感じます。
前作のジョエルとエリーは厳しい世界の中、実の親子でもない2人が少しずつ重要な存在となっていく過程がユーザーに感情移入させた点の一つでもあると思います。しかし、今作は、特にエリーにおいては成長的なものを感じることもなく、おそらくバッドエンドな感じで終わってしまいます。
ただでさえ感情移入しにくいと思われるテーマの中で、シンプルに2人の行動を描いただけの作品になってしまっているような印象です。
この内容でPartⅡというタイトルは正しかったのか考えさせられる内容です。
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