アサシン クリード ミラージュ レビュー

「Assassin’s Creed」シリーズ最新作「Assassin’s Creed Mirage」のレビューです。
シリーズ1作目「アサシン クリード」へのオマージュを謳うシステム面、そしてアサクリシリーズの改善点なども含めてレビューしていきます。

「ヴァルハラ」からのマイナスのデザインとなるシステム

本作は元々前作「アサシン クリード ヴァルハラ(レビューはこちら)」のDLCとしての開発スタートということもあり、操作感・UIなど多くの部分で「ヴァルハラ」がベースとなっていることを感じます。

シリーズ原点へのオマージュという点については、主人公が「アサシン クリード ヴァルハラ」に登場した「バシム」であるという点、本作の舞台と年代がシリーズ1作目「アサシン クリード」に近いことからある意味必然と言え、全体的なボリューム少なさや価格など、元々DLCであるという点としても納得という印象です。

原点回帰システム。アクション面

アクション面はステルスを重視した仕様に変更になっています。
これが一番顕著に感じられる理由が、近接戦闘の仕様変更によるもので、特に「アサシン クリード オデッセイ」「アサシン クリード ヴァルハラ」と比較すると近接戦闘が弱く、武器種が固定されているなど幅が小さくなっているという点、そして、「アサシンクリード」「アサシンクリード 2」へのオマージュなのかカウンターゲーム(現代的にいえばパリィ)な形になっています。
これに加え、オマージュとして煙幕や市民などを利用したステルスによる侵入などの要素が加えられています。

装備なども簡略化されており、RPG的要素も削除されています。

装備画面、防具は1箇所のみ。武器は剣と短剣で固定。他は装飾要素。

ただし、スキルなどの成長要素は簡略化されてはいますが残されています。

アイテム。主にステルス要素として存在し、ナイフ・煙幕や吹き矢などで無力化していく。

ゲームの幅とプレイヤーの選択

一部のレビューに「こういうアサクリを待っていた」というレビューが見られます。

「こういう」が何を指すのかにも寄りますが、それがステルス・暗殺部分を指すのであれば、それはちょっと違うのかなという気がします。

「アサシン クリード オリジンズ」からの3部作になってからでも暗殺プレイを重視したプレイはできていました。作品によっては1発で倒せないこともありましたが、それでもレベル差のある敵のみで多くの敵が一撃で倒せていました。弓の存在もあり、暗殺用のアビリティも過去作の方がバラエティがありました。これは単純に暗殺プレイでは時間がかかり近接戦闘も使いやすかったため、プレイヤー側はそちらを選んだというだけに過ぎないと思います。

本作のようにステルスにフォーカスした仕様を否定はしませんが、過去作の幅のある仕様も歓迎すべきだと感じます。

パルクール

細かな調整は入っているのかもしれませんが、それでも感覚として「ヴァルハラ」と同じような印象を受けるパルクールですが、本作は過去3作と異なり、街が中心ということもあり、建物やオブジェクトの凹凸が激しく、変なキャラクターの吸い込みやなぜか登れない段差(粘ってると登れる)など不安定な挙動が見られました。

自然の地形とは異なるのでパルクールの挙動についても改修してほしかったと感じます。

もちろん割とフリーダムに構築されている本シリーズのマップに対して現状の実装は素晴らしいものだとは思いますが、更なる高みを目指してほしいところです。

説明不足が目立つストーリー

冒頭、アサシンになる前からアサシンになるまでを描いたという点はチュートリアルも兼ねたという点でプレイヤーとのリンクという意味でもいい実装だったと思います。

ただし、全体的な展開はレベル制がなくなって、どこから攻略してもよくなったシステムの悪影響とも言えますが、淡泊かつ、今までのシリーズと代わり映えがしません。

また、バシムが主人公である意味、これは「ヴァルハラ」での描かれ方を考えれば、現代編がなく、さらに「ロキ」への言及もなしでは、ストーリーを厚くしようもないと感じます。ヴァルハラで描かれたストーリーの拡張ができていないのは残念でした。

ボリュームとクリア率と今後

一旦DLCだったという点は置いておいて、クリア率という点が少しフィーチャーされ、ボリュームが多すぎるのが一因なので、コンパクトにという流れが少し出てきています。

確かに、それも一因であるのは間違いありません。
ただし、逆に言えば、最後までプレイヤーを引っ張っていくものを提供できていないという言い方もできます。15周年と長く続くシリーズとなった本シリーズ。その作品ごとの時代に合わせた現実感のあるものを提供しなければいけないという制限もあると思いますが、「アサシンクリード」の世界には、現代で記憶を追体験しているというベースと「先駆者」という要素が存在しています。
それぞれの時代の中で物語やアクティビティを構築していくだけでなくこれらの要素をうまく活用していくことでより厚い作品にできるのではと思います。

すでにいくつかのプロジェクトが発表されている「アサシン クリード」シリーズの今後に期待です。

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